私のがん逃病記 (後編)

(ストーマでの生活)
荒井良庸

「ストーマでの生活」
はじめに
断わっておきますが、食事中に私のページを開かないで下さい。(食欲がなくなるから見ないほうがよいと思います。)
洗腸方法を選ぶ 
 私は6年前に直腸全摘術を受けてから、慣れるまでは、それこそ涙と笑いの抱腹絶倒の連続であった。うんこが自分でしたい時に出ないのだから(肛門を取っておしりの穴を塞いでいる為)、ストーマ(人工肛門)の部分に袋を付けて、自然排便にまかせるか、洗腸といって、ストーマの部分から微温湯を1リットル前後入れて(個人差がある)、大腸を膨らませてから、大腸の走行に沿って、奥のほうからストーマの出口に向けて、ゆっくり丁寧に押しながら、強制的に排便させる。のどちらか、あるいは使い分けるかして、日常生活を送らなければならない。
私の経験から云えば、快適な生活を送るには、後者の洗腸を行ったほうが、慣れるまで面倒でおっくうですが(洗腸には一時間程度かかりますが、)よい方法と思います。
 何故なら、尿の膀胱にあたる直腸の部分が無いから、自然排便にまかせると、一日5〜6回は出てしまう。一番憂鬱なのは食事の時に便が出てしまうことでした。もちろん袋を付けているから、そのなかに収まるのですが、やはり食べる気にはなりません。入院中はほかの人も自然排便のままが多く、また洗腸をするには病室内では臭くなってしまうし、トイレを占拠するのも気兼ねしたので、自然排便のままでしたが、社会に出るとそうはいきません。出るたんびにトイレに行ってうんこ袋を洗い、交換する手間を考えると、そしてなによりも食事中にお腹からうんこがにゅるにゅると出るのはいただけません。(特に、きれいなひとあるいはカッコイイ男といる時は注意した方がいいですよ。)
 退院時には洗腸の仕方を看護婦さんから教わり、社会復帰してからこの方法にしました。
悪戦糞闘?
 でも、いざ自分でしてみると、まず第一にお湯を入れやすいように、ストーマの穴の部分を広げなければならず、そこに指を入れるのが恐ろしく感じられ悲鳴をあげそうになりました。でも慣れれば別に痛いわけでもないからよい訳です。それよりも困ったのは、お腹のマッサージをどの位すれば、あと便が出てこないかです。これにはホトホト手をやきました。もう出てこないかなと思い、トイレから出たとたんにうんこが出てしまい、家の中が臭くなったり、夜中にふとんが黄色くなって飛び上がったり、悪戦糞闘?です。でもそれも最初のうちで、お腹のマッサージの仕方と便が出なくなるまでの時間が判るようになって来ます。後は食べる量によって一日二回にするか一回にするかだけです。それも毎日大体同じ時間にすればよいのです。
 ストーマの方で、なかにはあまり食べない人もいるそうですが、食事は楽しみですから、そして体の栄養のことも考えて、食べすぎないようにすれば、大丈夫です。洗腸後は念のために、ミニパウチを付けるかミニパットを貼ればOKです。洗腸でコントロールがつけば、精神的に良いと思います。
術後後遺症
 骨盤内には直腸をはじめ膀胱、前立腺(女性なら子宮)などの臓器や多くの血管、神経、リンパ腺があり、がんの大きさや広がり、がんの種類などによって、直腸を全摘しただけでは転移や再発を防げないので、他まで切除の範囲が広がったり、手術時に故意ではなく傷つけてしまう部分もあり、人によって後遺症はさまざまです。私の場合は尿意不鮮明で、おしっこがちびらないように気をつけていますが、なにかに、例えばこうしてパソコンに夢中になったりしていると失禁してしまいます。それから、夜うつ伏せになって寝ていると、朝、起きてみると地図をふとんに描いていました。まあ自宅ならいいのですが、一度出張の際、ビジネスホテルで世界地図を描いたのは最悪でした。カッコ悪いから、バスタオルをビショビショに濡らしてシーツの上に置いて帰りました。(でもホテルから苦情は来ませんでした。)
日常生活での注意点
 上記のようにならないために、排尿には気をつけていることと、私の場合は一部腸が細い部分があるので、腸閉塞にならないように消化のよいもの食べるようにしている事と、また、下痢しないように生ものは新鮮なものを食べるようにする。そして暴飲、暴食はしないようにすることでコントロールがついています。あとは、洗腸後、ストーマの周囲をきれいにして、便を肌に付着しないように心がけないとただれてしまうので、注意しています。それからストーマの部分は露出しているので、その部分を人や物にぶつけないようにしているぐらいです。
まとめとして
願望
 これは絶対不可能なことだから実現しないのだが、一度でいいからお尻の穴からうんこを思う存分してみたい。洗腸を始めた頃トイレに座っていると、力めばうんこが出そうな錯覚にとらわれました。長年の習慣は恐ろしいものです。もう今はそういう感覚はありませんがーーー
要望
 もし私のページを健康な人が開いていたら、健康診断を受けてください。体の機能を失ってからでは遅いですから。
希望
 人間絶望しなければ何処かに希望のひかりが見えてくるもんです。偉そうなことを言っていますが、これが私ががん体験した結論です。人はがんを経験すると人ができるようになると言いますが、ものの見方が多少変わるだけで、長年培われた性格は変わらないようです。
熱望
パソコン好きな方はメールをください。まだ、やり始めて三ヶ月位ですが、友達になってください。お願いします。