私の膀胱癌闘病記

長屋 一寿さん
私の膀胱癌闘病記
(1)膀胱癌の発見
平成12年6月20日(火)早朝ウオーキングを終えて、トイレで鮮やかなオレンジ色の血尿を発見、直ちに、以前から仕事上で関係のあった某泌尿器科病院の診察を受けました。エコー、内視鏡等による検査の結果、膀胱内に腫瘍があるとの診断を受け、入院の手続きをとるよう言い渡されました。

早速、仕事上で親交の深いT社長に(以前から前立腺肥大で、某総合病院泌尿器科の治療を受けておられる)
私の病状を説明し、今後の治療のアドバイスを受けました。「専門の病院もそれなりの実績をもっているが、総合的なことを考えたら、総合病院を選んだほうがよいのでは;」と云われ、某総合病院を紹介してもらいました。

★ 7月4日(火)入院
会社在職中の定期健康診断、年1〜2回の人間ドックでの診断では全く異常がなく、ただ普段からの大腸過敏症と大腸内にポリープが有るため、年1回内視鏡検査を受けていました。
膀胱癌には特別の症状は無かったのですが、今から考えると平成11年10月に妻と伊勢、南紀、山陰、北陸を旅行した際、天橋立のホテルで血尿らしきものを発見。以前から大腸にポリープがあることが頭にあったので、血便と勘違いし、旅行後かかりつけの胃腸器科病院で内視鏡検査を受けました。
検査の結果異常なし、疲労からのものだはないかと診断を受けました。
この時点で泌尿器科の診察を受けていれば、もっと早期に発見出来たのではと悔やまれます。

(2) 経尿道的膀胱腫瘍切除術
7月4火(火)入院と同時に待ち構えていたのが、検査の連続でした。
検査の結果、新しく判明したことが2点
 a, 右尿管の膀胱付け根付近に癌がある。
 b,  腎臓の機能が低下している(通常の70%くらい)。

早速担当医師によるインフォード、コンセントを受けました。
右尿管にも癌があるため、膀胱と尿管を二度にわけ経尿道的膀胱腫瘍切除術(内視鏡を入れて電気メスで癌組織を削り取る)を行う。
 a, 膀胱切除術……7月10日
 b, 尿管切除術……7月21日

手術当日の私の順番は1番目、午前9時からと予定が組まれ、朝6時にグリセリン浣腸でお腹の中をきれいにして、午前8時に術衣に着替え、手首にリストバンド(氏名、生年月日、年齢、血液型)を巻き、ストレッチャーに乗せられ、8時15分病室を出発しました。

手術室に入ると、直ちに麻酔科医師より腰椎麻酔(下半身)をかけられる。
下半身だけなので意識ははっきりしていて、顔を回せば手術室内部の様子は良くわかる。  

顔の前は遮蔽用スクリーンが掛けられていて見えないが、右側にモニターTVがあり、内視鏡を通して内部の様子が手にとるようによく見える。 膀胱内部のカリフラワーか、いそぎんちゃく状の癌を電気メスで削っていく。自分の腹の中の異物を削り取る状況を、複雑な思いで見ていました。
約2時間で手術は完了。
幸いにも、2回目の尿管腫瘍切除術も無事終え、その後の経過も順調に回復し8月1日(火)退院しました。

(3),膀胱全摘除術(右尿管、右腎臓共)
8月1日退院後、月に1度のペースで某総合病院泌尿器科外来の診察を受けていましたが、10月10日検査の日、膀胱内部を内視鏡で覗いた結果、膀胱内部に瘤のような盛り上がった状態の癌が多数発見されまし
た。

★2度目の入院
11月1日(水)再度の入院。種々の検査を終えて、11月8日(水)前回同様内視鏡による経尿道膀胱腫瘍切除術(内視鏡を入れて電気メスで癌組織を削り取る)を行いました。
手術後の説明は次のとおり
 a,目視の限りでは、前回同様表在性癌で、粘膜層どまりで、進行及び悪性度は、T1,G2であろう。
  目視出来る範囲では、悪い所は全部取り除いた。後は、病理の検査待ちである。
 b、右尿管には、前回より上部、即ち腎臓よりに癌が見受けられる。

手術の執刀等の医師スタッフが聞かされる。手術2〜3日前から婦長の配慮によりベテラン看護婦が配置され、手術を受けるに当たっての不安を取り除くアドバイスを受ける。その配慮に感謝する。

12月6日(水)いよいよ手術の当日、朝6時からグリセリン浣腸でお腹の中をきれいにし、午前8時術衣に着替え、家族に見送られ8時15分病室を出発、手術室に入る。
早速、麻酔科医師による全身麻酔、その後のことは全く記憶にない。

約12時間の手術の後(当初、手術所要時間は約8時間との説明があり、4時間遅れの帰室に、家族は手術中に何か起こったのではないかと、相当心配したようでした)、集中治療室で目が覚めた時には、体中、管だらけになっていました。目が覚めた後は、腰が抜けるように重く、痛かったのを記憶しています。
痛み止めの座薬を2〜3度入れてもらい、やっと落ち着いたのは、真夜中のことでした。

★ 手術後の回復
手術後の早い時期から体を動かした方が、合併症も少なく、回復も早いと言われ、手術の翌朝から早速病室からナースステーション前にある体重計のある場所まで、点滴スタンドにぶらさがるように足をひきずりながら歩きました。幸いに、タンも出ず、2日目にはガスも出て、その後は予定どうりドレーンも抜け、続いて抜糸とその回復の早さは目を見張るものがありました。最も心配していた膀胱周囲のリンパ節の病理検査も白と判定され、何よりの喜びでした。

あとは、退院までの間に尿管に入っているカテーテル(管)を抜き、チューブレスの状態で退院出来るように12月14日(木)からチューブレスにトライしました。当初の2〜3日は何の変化もなく、これならチューブレスもOKと喜んだも束の間、4日目から38度の発熱、背中に痛みが走り、結局12月27日(水)に再び尿管にカテーテルを注入して、年末年始の外泊をする事にしました。1月4日(金)帰院、人工膀胱(パウチ)取り替えのトレーニングを受け、1月12日(金)、73日間に渡る2回目の入院生活を終了しました。

カテーテル(管)を尿管内に残した状態(尿の流れを良くするため)での日常生活上のデメリットは
 a,2週間に1度は外来でカテーテルの交換をしなければならない。
 b,人工膀胱(パウチ)の交換時に、カテーテルが抜ける恐れがあるので神経を使う。

このため3月頃再度入院してチューブレスに挑戦することにしました。

★尿道癌の発見
3月10日(土)下着に、ごく少量の血痕の付着を発見、3月13日(火)某総合病院泌尿器科外来で、内視鏡による尿道検査を受け、尿道内に1ヶ所いそぎんちゃく状の尿道癌が発見されました(以前適出した膀胱癌、尿管癌と一連のものであると医師よりの説明有り)。

★3度目の入院
3月21日(水)入院、3月28日(水)12時30分より尿道摘出手術を受けました。
これで右腎臓、右尿管、膀胱、尿道と一連の物は全て摘出されました。手術も内視鏡による電気メスでの削り手術3回を入れると、5回目の手術となり、良く言えば度胸がついたと言うか、先のことは余りくよくよ考えなくなりました。しかし、手術後の痛みは、今回の手術が一番つらく感じました(肛門と睾丸の間からメスを入れ、尿道を摘出するため、座る場合、傷口に一番体重がかかり、激痛がしばらく続きました。座る場合には、便座型クッションをお尻に当て痛みをやわらげて座っている状態でした)。同時に尿管内のチューブレスにもトライして成功し、4月10日(火)、看護婦さんに『もう病棟にはこないように;せめて、外来ですませなさい』と冷やかされ退院しました。